借金返済|未払いのソフトウェアライセンス料の請求

違反
労働
基準法

主文

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨

1 原判決中控訴人の敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,279万1058円及びうち233万2890円に対する平成18年12月16日から,うち45万8168円に対する平成19年1月16日から,各支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
3 被控訴人は,控訴人に対し,253万9834円及びこれに対する平成19年3月16日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
4(1) 主位的請求
被控訴人は,控訴人に対し,9278万3091円及びこれに対する平成19年2月10日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
(2) 予備的請求
被控訴人は,控訴人に対し,4808万8485円及びこれに対する平成21年10月15日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
5(1) 主位的請求
被控訴人は,控訴人に対し,別紙1商標目録記載の商標権の移転登録手続をせよ。
(2) 予備的請求
被控訴人は,控訴人に対し,7113万3225円及びこれに対する平成20年5月17日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
6(1) 被控訴人は,別紙1商標目録記載の標章「携帯マスター」を電子計算機用プログラム又は同商品の包装に付してはならない。
(2) 被控訴人は,別紙1商標目録記載の標章「携帯マスター」を電子計算機用プログラム又は同商品の包装に付したものを,譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,又は電気通信回線を通じて提供してはならない。
(3) 被控訴人は,別紙1商標目録記載の標章「携帯マスター」を電子計算機用プログラムに関する広告,価格表若しくは取引書類に付して展示し,又は頒布し,又はこれらを内容とする情報に同標章を付して電磁的方法により提供してはならない。
7 被控訴人の請求を棄却する。
8 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
9 第2項ないし第4項及び第5項(2)に対する仮執行宣言

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第2 事案の概要及び当事者の主張等

1 事案の概要
控訴人(原審本訴原告,反訴被告)を「原告」と,被控訴人(原審本訴被告,反訴原告)を「被告」という。
原審において用いられた略語は,当審においてもそのまま用いる。
原審の経緯は,以下のとおりである。
〔原審本訴事件〕
原告は,被告に対し,1携帯電話の内部メモリ編集ソフトの開発・販売に関する契約(本件契約)に基づき被告が販売した製品(携帯マスター17)に係る未払ロイヤリティ279万1058円の支払,2原告と被告との間で締結したNEC向け製品(携帯マスター9 for NEC)のライセンス契約に基づく未払ライセンス料253万9834円の支払,3主位的に本件契約上の債務の不履行(販売努力義務違反)による損害賠償請求として9278万3091円の支払,予備的に被告が本件契約を突然終了させたことが信義則上の義務に違反するものであり,これにより原告が次期バージョンの製品(携帯マスター18)に係る開発費用相当額の損害を受けたとして,4808万8485円の支払,4主位的に別紙1商標目録記載の商標権(本件商標権)の移転登録手続,予備的に本件契約の終了に伴う信義則上の義務に基づき,本件商標権の経済的価値の2分の1に相当する金員(補償金)として7113万3225円の支払,5本件商標の使用差止めを求めた。
〔原審反訴事件〕
被告は,原告に対し,1携帯マスター9について,原告の不注意により著名タレント2名の肖像を含む画像データ(写真)が無断で格納されていたため,その発売前の回収や事後処理等を余儀なくされたとして,本件契約上の債務不履行による損害賠償請求として,6976万0493円の支払,2携帯マスター17の返品に伴う精算金として,2398万0800円の支払を求めた(なお,被告は,本訴請求に対し,反訴請求2を自働債権とする相殺の抗弁を主張し,反訴請求2は,本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合には,それを超える部分を請求するとした。)。
〔原審判決等〕
本訴請求のうち,1,2には理由がある(この点については当事者間において争いがない。)が,3ないし5(予備的請求を含む)には理由がないとし,他方,反訴請求のうち,1には理由がないが,2は1199万0400円の限度で理由があるとして,上記反訴請求2と上記本訴請求1,2とを対当額(本訴請求1について相殺適状となった平成19年2月9日までの遅延損害金2万3816円を含む額。)で相殺し,結局,本訴請求をいずれも棄却し,反訴請求を663万5692円の限度で認容する判決をした。
これに対し,原告は,原判決のうち原告敗訴部分の取消しを求めて,本件控訴を提起した。
2 争いのない事実等及び争点
争点(2)を「被告が平成18年9月6日まで携帯マスター18の開発中止を申し入れなかったことが信義則上の義務に違反するか」と改めるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」,「2 前提となる事実」,「3 争点」(原判決5頁24行目ないし13頁3行目)記載のとおりであるから,これを引用する。
3 争点に対する当事者の主張
次のとおり当審における主張を追加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「4 争点に関する当事者の主張」(原判決13頁4行目ないし39頁3行目)記載のとおりであるから,これを引用する。
1 争点(1)(被告は携帯マスターシリーズの販売努力義務に違反したか)につい〔原告〕
(1) 携帯マスター等は,平成18年11月16日から同年12月15日までの間で,1万5853本(うち携帯マスター17が1万5840本)が返品され,実売本数が異常に落ち込んでいるが,これは被告が同年10月19日に携帯マスターNXを発売し,携帯マスター17を店頭から引き上げたことによるものである。
被告は,携帯マスターSmartシリーズとは異なり,携帯マスターNXを携帯マスター17に取って代わる商品として発売したのであり,このことは,携帯マスターSmart及び携帯マスターSmart2の発売後は,携帯マスター14,15の返品は増えていないことと比べると明らかである。
被告が,本件契約期間中に携帯マスター17を店頭から引き上げ,競合商品となる携帯マスターNXを発売した行為は,販売努力義務に違反する。
なお,被告は,被告の販売努力義務違反を推認させる重要な事実である携帯マスターNXの出荷数を明らかにしない。
(2) 以下の事実を総合すれば,被告の販売努力義務違反は明らかである。
ア 被告は,平成18年2月ないし3月ころには携帯マスターNXの製品化の目処が立ったため,同年中に発売すべく準備を着々と進めていたのであって,同年6月ころ,携帯マスターNXの発売を決め,本件契約の解約を申し入れるタイミングを模索していたと推認される。
また,被告は,NECへのライセンス期間内は,サポートなどの面で原告の協力を必要とすることから,携帯マスター16forNECをライセンスすることを見送った。
イ 被告は,携帯マスターSmartの出荷数,販売キャンペーンのいずれの面においても,終始消極的な姿勢を示していたのに対し,携帯マスターNXについては,大々的な発売キャンペーンを行っていたことに照らすと,被告が携帯マスターSmartの姉妹シリーズである携帯マスターシリーズの販売努力義務を履行していたとはいえない。
ウ 被告は,携帯マスター17について,合意書への署名を1か月近く留保しながら,マスターCD受領後はわずか2週間で発売しており,このような異常な発売経緯からすれば,被告が携帯マスター17を発売する前に携帯マスターNXの発売を計画していたと推認される。
エ 被告は,携帯マスター16,17の売上状況に照らして,販売改善に向けた努力が必要であることを認識し,原告の取締役(当時)であったA(現原告代表取締役)からも販売戦略の見直しを指摘されながら,何ら対策を講じることなく,漫然と従前の販売方針の下,携帯マスター16,17を販売していた。
このような行為に照らすならば,被告は,意図的に販売努力を怠ったものといえる。
オ 被告は,平成18年8月上旬,開発用の数百台の携帯電話端末を原告から引き上げ,その後,新機種の提供をしなかった。
このような経緯によれば,被告が顧客に対する携帯マスター17の修正作業(バグフィックス)サービスの提供を放棄し,販売努力を怠ったことは明らかである。
〔被告〕
(1) 携帯マスター17の返品数が増加した原因は,携帯管理ソフトの市場の需要が廉価版に移行していたにもかかわらず,携帯マスター17の価格を高く設定したためである。
被告は,上記市場の変化を原告に再三説明し,方針変更を打診したのに対し,原告は携帯マスターシリーズを高機能版として制作・販売することに固執した経緯に照らすならば,携帯マスター17の返品が増加した責任は,原告にある。
被告は,流通・販売の各社から携帯マスター17の返品があれば,売価と同額の返金をせざるを得ないから,携帯マスター17を店頭から引き上げるはずはない。
なお,携帯マスター14,15販売当時は,市場が低価格化に移行する過渡期であって,高機能版の市場滞留も少なかった。
また,被告が携帯マスターNXの出荷本数を開示しないのは,被告の販売努力義務違反とは関連性がないからである。
(2) 以下のとおり,原告の主張はいずれも理由がない。
ア 被告が,第三者開発ソフトウエアの販売と並行して,自社における同種ソフトウエアの研究を進めることは,ソフトウエア・パブリッシャーとして合理的な業務活動といえる。
被告は,Aと交渉を重ねた結果,携帯マスター18以降の原告との協働事業は不可能と判断したため,急ぎ自社で研究していたソフトウエアを商品化せざるを得なかった。
イ 被告の携帯マスターNXのキャンペーン実施は,市場の縮小傾向下において,重大なコストとリスクを抱えた自社開発製品を販売するに当たり,市場シェアの獲得のために行なった合理的な販売手法であり,販売努力義務違反とされるものではない。
ウ 原告が被告に対し携帯マスターシリーズの新版をライセンスするか否かは,各バージョン毎に合意がされることによってはじめて決まる。
ライセンス許諾が当然に予定されていたものではない。
原告は,被告が合意書に調印するまで携帯マスター17のマスタープログラムの交付をしなかったことからも,当然にライセンス許諾が決まっていなかったことは明らかである。
エ 被告が原告に預けてあった携帯電話端末を回収し,その後,それを原告に返還しなかったのは,平成18年9月6日以降,両者間で協業終了に向けた交渉を開始したためである。
被告が原告に対し携帯電話端末を提供していたのは,原告が自前で購入し用意するまでの間の便宜供与であるから,棚卸のために携帯電話端末を引き上げたことと,携帯マスター17の販売努力義務違反との因果関係はない。
2 争点(2)(被告が平成18年9月6日まで携帯マスター18の開発中止を申し入れなかったことが信義則上の義務に違反するか)について
〔原告〕
継続的な取引においては,一方当事者は,他方当事者に対し,不測の損害を与えないよう配慮すべき信義則上の義務を負う。
本件契約は,6年以上,13バージョンにわたり継続してきた継続的取引である上,被告の申し入れにより,平成12年ころから,年2回新版を発売してきた。
ところが,被告は,原告が,平成18年6月初めころ,携帯マスター18の開発に着手したことを知りながら,同年9月6日まで開発中止を申し入れず,原告に対し,不測の損害を与えた。
なお,本件契約では,原告において,プログラムの仕様を決定してきた。
開発内容等について,格別打合せを行っておらず,被告側が変更を希望する場合には連絡をする慣例があった。
被告は,仕様説明の時期を前にした平成18年9月6日に本件契約の打ち切りを突然通告してきたのであるから,原告が被告に対し携帯マスター18の仕様説明を行なわなかったことは当然である。
また,Aと被告の社員B(以下「B」という。)は,携帯マスター17のライセンス条件を取り決めるに当たり,携帯マスター18の発売を前提にした協議をしていたことからすれば,原告が携帯マスター18の開発を従前どおり進めたことに落ち度はない。
〔被告〕
被告は,携帯マスターシリーズの新バージョンについて原告からライセンスを受ける義務はなく,原告も携帯マスターシリーズの新バージョンを開発する義務はなかった。
被告の平成18年9月6日の申し入れの趣旨は,新バージョンである携帯マスター18の販売をしないというものであり,原被告間の契約は,平成19年2月9日,期間満了により終了した。
新バージョンの開発には,現バージョンについての市場の反応,機能等の情報収集・分析が不可欠であるから,携帯マスター17の開発完了直後から携帯マスター18の開発に着手する必然性はない。
仮に,原告が,携帯マスター17の開発直後に,新バージョンの開発作業を行っていたとすれば,それは,ソフトウエアの通常の開発業務としてされたものにすぎない。
被告は,原告が不測の損害を被ることのないよう,契約期間満了の5か月前,携帯マスターシリーズの新バージョンの通常のリリース時期の3か月前である平成18年9月6日,原告に対し,携帯マスター18の販売をしない旨告知しており,信義則違反はない。
3 争点(3)(本件商標権の帰属及びその経済的価値)について
〔原告〕
(1) 原被告間では,「デジカメマスター」との商標についても,契約終了後,原告に名称使用権を戻すことを前提に,被告名義で商標登録がされていた。
本件商標が被告名義で商標登録されているからといって,本件商標権が被告に帰属するということはできない。
また,被告が,本件商標の登録出願をしたのは,商品発売から約2年6か月後であり,本件商標を重視していたとはいえない。
原告は,被告の平成18年9月28日付け内容証明郵便(乙2の1)により,本件商標が被告により商標登録されたことを知ったのであって,それ以前に異議を申し立てることなどできなかった。
(2) 原告は,本件契約に基づく取引継続中,「携帯マスター」シリーズのソフトウエアの改善改良に取り組み,それによって,本件商標の顧客吸引力及び経済的価値が高まった。
仮に,被告が,本件契約終了後に,原告が寄与した経済的価値の全てを保有することになれば,原告の貢献分は,不当利得に当たる。
被告は原告に対して,商品の販売に係るロイヤリティを支払っていたが,十分な対価が支払われたとはいえない。
したがって,本件商標権の移転登録手続請求(主位的請求)が認められない場合には,被告は,予備的に,不当利得返還請求権に基づき,原告に対し,本件商標権の有する経済的価値の2分の1の金員である7113万3225円の支払義務を負う。
〔被告〕
(1) 原告は,本件商標登録がなされていることを容易に知ることができたのに,被告の平成18年9月28日付けの内容証明郵便(乙2の1)による通知までこれを知らなかったということは,原告が本件商標権に無関心であったことを示すものである。
また,本件商標の登録出願は,それまで「ケータイ・マスター」という片仮名の商品名であった携帯マスターシリーズを,「携帯マスター」という漢字の商品名にしたことに合わせて行われたものである。
したがって,本件商標権が原告に帰属することはない。
(2) 本件商標の価値形成は,被告の活動によるものであり,本件商標に関し,原告から被告への財産的利益の移動や原告による出捐はない。
仮に原告の活動が本件商標権の財産的価値を高めることに何らかの貢献をしたとしても,これは契約に従ったロイヤリティの支払により填補されている。
このことは,本件契約上,原告のプログラムのバージョンアップに投入する労力は,ロイヤリティ収入で採算が取れる範囲内とする旨合意されていたことからも明らかである。
4 争点(4)(携帯マスター17の返品により,被告が支払ったロイヤリティの返金が認められるか)について
〔原告〕
契約書(甲1)には,「本契約が解約となった場合でも,甲(判決注・被告を指す。)は本件商品を継続して販売する権利を有するものとする。」(9の2)と規定されており,本件契約解約時に返品を認めない代わりに,契約終了後もライセンス料を支払った数量までは本件商品を継続して販売する権利を被告に認めたものであるから,本件において,被告が支払ったロイヤリティの返金は認められない。
なお,従前の例においても,原告が開発し被告が販売していた「デジカメマスター」(乙14)及び「CDバーチャライザー」(乙15)の契約書にも返品の定めはなく,それぞれの最終版において返品がされることはなく,被告は在庫の販売を継続した。
また,「『携帯マスター17』のライセンス条件に関する合意書」(甲3)の2条によれば,返品の精算は,次版,次々版の発売を前提にした規定となっているから,契約が終了する場合には,ロイヤリティの返金は認められない。
〔被告〕
本件ロイヤリティは,被告が商品として携帯マスターシリーズを販売して,その売上が収益として確定し,その価値が実現されることに対する対価である。
被告が携帯マスターシリーズを販売して実現する価値は,実売分だけであり,ロイヤリティ支払後に返品があれば,当該支払済ロイヤリティを返還するのが当然である。
なお,契約書(甲1)には,販売継続権の定めはあるが,返品を拒否する定めはない。
また,販売継続権が認められるとしても,市場の状況は変化するものであり,売れない商品を滞留させずに,返品に関する精算をすることには合理性がある。

第3 当裁判所の判断

当裁判所は,本件控訴は理由がなく棄却すべきものと判断する。
その理由は,次のとおり付加訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」(原判決39頁5行目ないし58頁10行目)記載のとおりであるから,これを引用する。
1 原判決40頁16行目ないし41頁18行目を,以下のとおり改める。
「(4) これに対し,原告は,被告が携帯マスターNX発売後,携帯マスター17の実売本数が異常に落ち込んだとして,被告に携帯マスターシリーズの販売努力義務違反があると主張する。
しかし,原告の上記主張は,採用することができない。
その理由は,以下のとおりである。
すなわち,携帯マスター17の販売の推移をみると,前提となる事実(8),証拠(甲4の711,同5の13,15,17,19,20,同6の15,乙1)及び弁論の全趣旨によれば,携帯マスター17は,平成18年6月30日に発売された後,同年7月15日までの間に2万1277本,同月16日から同年8月15日までの間に2282本,同月16日から同年9月15日までの間に2758本,同月16日から同年10月15日までの間に1880本,同月16日から同年11月15日までの間に543本(携帯マスターNX購入者によるダウンロードを含む。)が販売されたが,同月16日から同年12月15日までの間に1万5840本,同月16日から平成19年1月15日までの間に2105本,同月16日から同年2月15日までの間に2039本が返品されたことが認められる。
しかし,証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば,携帯マスターシリーズでは,新製品(新バージョン)は,発売直後は好調であっても,次第に販売が減少する傾向があること,携帯マスター14以降,実売本数が減少し続けていることが認められる上,携帯マスター16に至るまで,新製品(新バージョン)が発売されると,前商品(前バージョン)は大量に返品されているところ,携帯マスターNXが発売されなかったとしても,売れ残った携帯マスター17はいずれ返品されたものといえる。
そうすると,携帯マスターNX発売により,携帯マスター17の実売本数が異常に落ち込んだとは認められない。
また,証拠(甲1)によれば,本件契約には,「甲(判決注・「被告」を指す。)は,本件商品の拡販に努力するものとする。」(5の1)との条項が存在するが,被告は抽象的に拡販(販売数の拡大)に努力するものとされているだけであり,これにより具体的な販売義務(例えば,特定の販売数を下回らないことなど)を負っているとは解されない。
さらに,証拠(甲1)によれば,本件契約には,「乙(判決注・「原告」を指す。)は,本件商品と市場で直接的に競合する商品を自ら販売しないものとする。」(5の2)との条項が存在するが,被告が,本件商品と市場で競合する商品を販売することを禁止する条項は存在しない。
以上によれば,被告が携帯マスターNXを発売したこと等が,販売努力義務違反に当たるということはできない。
なお,原告は,被告が,携帯マスターNXの発売に合わせて,携帯マスター17を店頭から引き上げた,携帯マスター17発売前に携帯マスターNXの発売を計画していた,原告との協力関係解消のため携帯マスター16forNECのライセンスを見送った,携帯マスターSmartの出荷,販売キャンペーンにおいて消極的な姿勢を示していたのに対し,携帯マスターNXについては,大々的な発売キャンペーンを行った,Aから販売戦略の見直しを指摘されながら,何ら対策を講ずることなく漫然と従前の販売方針の下,携帯マスター16,17を販売していたなどと主張するが,本件全証拠によるも,これを認めるに足りる証拠は存在しない。
また,被告が,平成18年8月ころ,原告から開発用の携帯電話端末を引き上げたことは,被告が販売努力義務に違反したか否かとは関係がない。
(5) 以上のとおり,被告は携帯マスターシリーズの販売努力義務に違反したとは認められず,これを理由とする原告の被告に対する損害賠償請求には理由がない。」2 原判決41頁19行目ないし43頁23行目を,以下のとおり改める。
「2 争点(2)(被告が平成18年9月6日まで携帯マスター18の開発中止を申し入れなかったことが信義則上の義務に違反するか)について
原告は,被告が,平成18年6月初めころ,原告が携帯マスター18の開発に着手したことを知りながら,同年9月6日まで開発中止を申し入れなかったことが信義則上の義務に違反すると主張する。
しかし,原告の主張は,採用することができない。その理由は,以下のとおりである。
すなわち,1本件契約によれば,「2)役割分担」の項に「原告の役割」として「プログラムの継続的なバージョンアップ」と規定されているが,同規定には「バージョンアップ」は,「ロイヤリティ収入で採算が取れる範囲」との限定が付けられていること(9の3),2携帯電話端末は,次々に新たな機種が販売されており,携帯マスターシリーズのようなプログラムは,それらの新たな機種に対応するためのプログラムの変更(マイナーバージョンアップ)が不可避であったこと等の事情にかんがみると,前記「プログラムの継続的なバージョンアップ」とは,新たな携帯電話端末の機種に対応するためのバージョンアップを指し,携帯マスター18のような新規の開発を指すものではないと解するのが合理的である。
そうすると,携帯マスター18の開発行為が,本件契約上の義務として,原告が行っていたことを前提とする原告の主張は,採用することができない。
ところで,原告は,平成12年2月10日に被告との間で本件契約を締結した後,別紙2製品目録記載のとおり,平成18年6月30日に携帯マスター17を発売するに至るまでの6年以上にわたって,継続して携帯マスターシリーズのプログラムを開発し,これを被告に提供してきたこと,Aは,被告社員のBに対し,同年6月15日,「『18』は11月末12月第1週の発売を前提としたスケジュールで開発を継続します。
貴社サイドで変更を希望される場合には必ず連絡してください。」との電子メール(甲27)を送信したことが認められる。
しかし,原告は,携帯マスター17の開発完了後,被告との間において,「携帯マスター」事業は採算が合わず,現状のまま維持,継続することは困難であるとか,今後,資本力のある別会社を通じた販売を考えているなど,その事業の存続を含めた厳しい状況を前提とした交渉を続けていたもので,被告から携帯マスター18の発売を断念する旨を提案された平成18年9月6日時点においても,本件契約を更に更新するか否かの見通しを立てられなかったこと,原被告間では,携帯マスターシリーズについて,個々のバージョンごとに具体的にロイヤリティ等のライセンス条件が交渉され,合意書が取り交わされた後に,初めて原告が被告に複製・商品製作用の完成版プログラムを格納した「ゴールドマスター」ディスク(GM)を交付して納品するという形態の取引が行われていたが,携帯マスター18については,原被告間において,その開発内容等についての具体的な交渉が実施された形跡はないこと(甲3,甲9,2730,乙57,913,1820,29,原告代表者,被告代表者,証人C,弁論の全趣旨)が認められる。
また,携帯マスターシリーズに搭載されているプログラムは,原告が著作権を有していることから,被告は,原告の許諾を受けることなく,同プログラムを利用することができない筋合いであるが,原被告間で,ロイヤリティその他の条件が折り合わない限り,新たな契約の存続はないのであるから,本件契約は,市場環境,採算の予測,契約条件等の状況いかんによって,終了し得ることが予測されてしかるべき性質の合意であるというべきである。
上記認定した諸事情を総合すれば,被告が,本件契約の解約を決定しながら,原告に損害を与えるため,携帯マスター18の開発中止の申し入れを平成18年9月6日まで遅らせたということはできない。
むしろ,被告は,携帯マスター17発売(平成18年6月30日)の約2か月後,本件契約の期間満了日の約5か月前に,原告に対し,携帯マスター18発売の断念を申し入れ,同年11月2日ころ,本件契約を更新しない旨通知していた(前記前提となる事実(7))のであるから,被告の上記申し入れが信義則上の義務に違反するということはできない。
以上のとおり,被告が原告に対し平成18年9月6日まで携帯マスター18の開発中止を申し入れなかったことが,信義則上の義務に違反するということはできず,これを理由とする原告の被告に対する損害賠償請求には理由がない。」3 原判決44頁23行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「また,原告は,原被告間では,『デジカメマスター』との商標についても,契約終了後,原告に名称使用権を戻すことを前提に,被告名義で商標登録がされており,本件商標が被告名義で商標登録されているからといって,本件商標権が被告に帰属するということはできないと主張する。
しかし,本件契約とは別個の契約に基づいて,原告の主張に係る事実を認定することはできない。
さらに,原告は,被告の平成18年9月28日付け内容証明郵便(乙2の1)により,本件商標が被告により商標登録されたことを知ったのであって,それ以前に異議を申し立てることなどできなかったと主張するが,仮に,そのような事実があったとしても,原被告間では本件商標権は原告に実質的に帰属するとの合意がされていたとは認められない。」
4 原判決46頁2行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「 さらに,原告は,予備的に,目的消滅に基づく不当利得返還請求権に基づき,被告に対し,本件商標権の有する経済的価値の2分の1に相当する金額(7113万3225円)が不当利得に該当する旨主張する。
しかし,本件商標に係る権利者である被告が,本件商標権の経済的価値を享受することに法律上原因があることは当然であるから,それが法律上の原因を欠くとの原告の主張は理由がない。」5 原判決48頁6行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。
「 これに対し,原告は,契約書(甲1)によれば,本件契約においては,契約解約時に返品を認めない代わりに,契約終了後もライセンス料を支払った数量までは本件商品を継続して販売する権利が被告に認められており,被告が支払ったロイヤリティの返金は認められない,以前,原告が開発し被告が販売していた「デジカメマスター」及び「CDバーチャライザー」についても,最終版において返品はされず,被告は在庫の販売を継続した,と主張する。
しかし,原告の主張は,以下のとおり,採用することができない。
すなわち,契約書(甲1)には,「本契約が解約となった場合でも,甲(判決注・被告を指す。)は本件商品を継続して販売する権利を有するものとする。
甲が本権利を行使する場合には,エンジンの使用権を一時金で精算するか,最終契約条件に基づいたロイヤリティ支払いを継続する義務を負うものとする。」(9の2)との規定が存在するが,同規定によって,被告が本件契約解約時に本件商品を継続して販売する義務を負ったものと解することはできない。
むしろ,本件契約においては,被告から原告に対し,本件商品の実売数に応じたロイヤリティを支払うこと,すなわち,本件商品の販売数(出荷数)に応じたロイヤリティを支払った後,本件商品の返品があれば,精算が必要となることは当然の前提となっており,合意書(甲3)は,それを前提とした精算方法を定めたものと解される。
また,原告が開発し被告が販売していた「デジカメマスター」及び「CDバーチャライザー」について,最終版において返品がされず,被告が在庫の販売を継続したとしても,本件契約とは別個の契約に基づくものであり,これにより上記認定が左右されることはない。
したがって,原告の上記主張は採用することができない。」
6 原判決58頁10行目の後に行を改め,「その他,原告は,縷々主張するが,いずれも,理由がない。」を付加する。
7 結論
以上のとおり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。

過払い金に関する基礎知識

過払い金を請求する場合、初めにしなければならないことは、自分がグレーゾーン金利を基準に払い過ぎた金額を計算すること。
そのためには、貸金業者との取引履歴が必要になります。
取引履歴は基本的に貸金業者に依頼をすれば、7年間保管する義務のあるものなので、闇金などでない限り取り寄せることが可能です。
7年以上に遡って調べる場合、推定計算という方法で計算をすることになります。
これは、裁判でも認められていることなので、安心して下さいね。
こうして説明すると、過払い金の請求は非常に手間の掛かる作業であることが分かると思います。
そのため、本処理を代行してくれる弁護士事務所や司法書士事務所が存在するわけです。
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離婚の時、一番問題になるのがやっぱり慰謝料。
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